
- ボルダリングに向き不向きってあるのかな
- 興味はあるけど私でもできる?
- 運動神経が良くないけどやっぱり難しい?
- 身長が低いんだけど不利なのかな
「ボルダリングを始めてみたいけど、自分に向いてるのかな?」
そんなふうに迷う人は、実はとても多いです。
「ジムに行くまでに○年悩みました!」なんて声を聞くこともあります。
でも、ジムでボルダリングを続けている多くの人を見ていると、楽しみとして登る限り “決定的に向いていない人”ってほとんどいないなと思うんです。
年齢も性別も身長も運動経験もバラバラ。それでも、皆さんが楽しんで続けています。
今回は、「ボルダリングに向き不向きってあるの?」というテーマで、実際のところをお伝えしていきますね。
もくじ
“向いていない人”はほとんどいない理由
ボルダリングは、あなたが競技選手じゃない限り、”対戦相手と勝ち負けを争う”というスポーツではありません。
勝負するとしたら「過去の自分」と。
ボルダリングはあらかじめジムの壁に設定してある「課題」と呼ばれるルートを登りますが、どのジムでもその日が初めてという方でも挑戦できるような難易度の課題から設定してあり、自分のペースで徐々に難しいものにチャレンジしていきます。
ジムにより難易度の易しい課題の数や充実度は様々ですが、一般的に「難しい(辛い-からい-)」と言われるジムであっても、しっかり練習を重ねれば、誰でもちゃんとその人なりに上達することができます。
- 運動神経:一般的な運動神経の良し悪しでは計れない部分があります。足が遅いから向いていないなんていうことは全然ありません。それまで運動経験の無い方も多く続けています。
- 身長:もちろん高ければそれだけ楽に課題を攻略できる可能性は高まります。ただ逆に、攻略できてしまう分、背の低い人に比べて「技術」を獲得する機会が激減してしまうという側面も。背の低い人は攻略にまた違う努力が必要な分、早いうちから技術を身につける機会が多いという利点があります。
- 性別や筋力の有無についても同じようなことも言えます。
自分でコツコツ取り組み、過去の自分より登れるようになるように練習するスポーツですので、コンペ出場でもない限り他人と比較する必要はありません。
チームプレーじゃない分、誰かとの関係性を心配することも誰かにプレーで迷惑をかけるかもという心配もほぼ皆無。「楽しい」「もっと登りたい」という気持ちさえあれば誰だって続けられます。
それを踏まえたうえで、下記では「向いている人」「向いていない人」に敢えて触れてみようと思います。
“向いている人”はこんなタイプ
敢えて書くとしたら、下記のような方ははっきり“向いている“と言えます。
<とにかく登るのが楽しい!好き!という人>
これはもう本当に一番大事なこと!
向き不向き以前に、これが無いと続けられません!
<性急に結果を求めず、じっくりと取り組める人>
パッと来てその日のうちにどんどん課題の難易度を上げていってしまうタイプの方よりは、難易度の低い課題からじっくりと取り組み少しずつ少しずつ、というタイプの方のほうが、結果として継続しているし上達しています。
ボルダリングは「継続は力なり」、です。
<高い所が怖くない人>
いやーこれは天賦の才です!
人間の本能でどうしても「怖い」と思ってしまうのですが、中には本当に「怖くないです。ワクワクする。」という方があります。
高所で臆することなくムーブにチャレンジできるのは、これは絶対に“向いている人”と言いたいです。
<誰かとの比較に心潰されることなく自分のモチベーションにできる人>
他人と比較する必要はないとはいえ、どうしても心の中では比べてしまうのが人間の性。「あの人登れたんだ…私はできないのに、向いていないのかもしれない…」と不安になることなく、「おー、あの人登れたんだ!私も頑張ろう!」と思える人は強い!
敢えて “向いていない人” を挙げるとしたら
このタイプの方は…ジム利用が難しいかも
<絶対にケガをしたくない人・させたくない保護者さん>
これは、実は結構いらっしゃいます。「絶対にケガしませんか」「子どもがケガをする可能性は絶対にありませんか」と言われる方。
クライミングは高所で行うスポーツです。その特性から「エクストリームスポーツ」にも分類されています。
高い所から落ちるだけでなく、指の関節などにも負担の大きいスポーツ。ケガは大なり小なり、どんなに注意していても防げないものです。
もしそのリスクを絶対に取りたくないということであれば、本来ならジム利用の誓約書にサインすることもできないはずですし、そもそも “スポーツをすること“ 自体に向いていないかもしれません。
<スポーツに対してのプライドが高すぎる人>
「○○さんより私のほうが上手いでしょ?」「○○さんより登れるし」と誰かに負けることが許せず、人を落として自分を上げたいタイプの人。負けず嫌いとは少しベクトルが違います。
周りの空気もギスギスしちゃうし、何より人の評価を落として自分を上げようとしても、それで課題が登れるようにはなりません。
どんなに運動神経が良くても、「向いていない人」と言ってもいいかもしれません。
ごくたまに、いらっしゃいます。
そこまではっきり分かりやすくなくても、人の出来はめちゃくちゃ気になるけど自分が努力できないタイプの人は、そもそもボルダリングの継続自体が難しいかもしれません。
<高い所が病的に怖すぎる人>
ある程度の高所恐怖症なら、怖いけれどある程度までは慣れます。私も相当高い所が苦手ですが、最初の頃よりは怖いながらもだいぶ慣れてきました。
でもパニックを起こしてしまうほどの高所恐怖症の方だとさすがに難しいところがあるかもしれません。
あと、小さな子どもさんも、泣き叫んでパニックになるくらい怖いなら無理しないほうがいいような気がします。トラウマになってしまいそう。無理せずもう少し大きくなって「怖いけど頑張れる」くらいになってからで十分、全然遅くないです。
<潔癖症すぎる人>
ものすごい潔癖症の方がジムに来られたことがあります。
一見してかなり重い潔癖症だったので、なぜボルダリングジムに?と思いましたが、もしかしたら同行されていたご家族の“潔癖症を乗り越えてほしい“という気持ちからだったのかもしれません。が、ちょっとさすがに荒療治過ぎ…。
アルコール消毒してあるとはいえいろんな人の履くレンタルシューズ、チョークなどの付いたホールド、チョークがうっすら付いた床…その方にとっては地獄のような場所・時間だったでしょう。
とても登るどころでは無く、その場に立っているだけでも苦痛のようでした…。
“向いていない”というより、“ぜひ気を付けて!”というタイプ
<脱臼癖のある人>
ボルダリングは、小さな関節に全体重+遠心力がかかることもあるスポーツです。肩関節などの脱臼癖のある方などはテーピングをしたり周りの筋肉を鍛えたりして、十分にお気を付けください。
私の働いているジムでも一度肩を脱臼された方があり、「よく外れるんです…」とおっしゃっていてびっくりしました。
<骨密度の低い人>
ボルダリングはロープも無く高い所から落下することが大前提ですので、器質的に骨折しやすい状況の方は、本当に気を付けてください。
私自身も落ちて足の大ケガをしたことがありますが、治るまで本当に後の日常生活が大変でした。
特に高齢の方は、一度骨折してしまうとその後の日常生活、はては人生に大いに影響してしまうことも。
健診で骨密度が低いことを指摘されている方は、無理せず絶対に落ちないような易しい課題だけに留めるなど、くれぐれも注意してください。
<高度肥満の人>
ボルダリングは重力のかかるスポーツです。ある程度の体重ならもちろん全く問題なくチャレンジしてみてほしいですが、“高度肥満”と呼ばれる体型だと実際かなりキツイと思います。
「ボルダリングで痩せた♪」となる前に、ご自身の指関節や腱が悲鳴を上げてしまいます。
ボルダリングを痩せるための単体手段とするのではなく、食事や登らない日のストレッチなどにしっかり取り組んで肥満状態から脱するように頑張ってみましょう。身体が軽くなると少しずつ登れるようになりますよ。
<衝動的に動いてしまう人>
ジム内にいる全ての人の安全のためにルールがあり、皆さんが気持ちよく登るためにマナーがあります。
時々、自分が登ることに夢中になって周りの状況が見えなくなってしまったり、人が登っていても衝動的に動いてしまうタイプの方があります。いわゆる「じっとしていられない」とか「状況把握が苦手」なタイプの方。
お子さんに多いですが、大人の方にも少なからずあります。こういう方は無意識にそうなってしまっているので、注意してもなかなか直らないことも。
「自分はそうかも」と自覚のある方は、誰かに同行してもらって周りの状況を見てもらうなどしてもらうと安心です。事故が起こってしまってからは遅いですので…。
思いつくのはこんな感じです。
おまけ:ジムで聞く“NGワード” これを言う人はなぜか継続率低め…?
ジムで、初体験の方から出るとなぜかその人は続かないというジンクスのようなワードがありますので、ご紹介します。
あくまで私が働いているジムでの経験上のことですので、ご参考までに。
「今日が初めてだけど、月会員(年会員)に入って続けるつもりなんですよね」
あくまで『クライミング未経験の方』の場合です。
ジムとしては、「やったぁ!」って小躍りするくらい本当に嬉しいお言葉なんです!
…なのに、なぜかこのワードを口にした方って継続率が低いんですよね…。もちろん言葉通り継続される方もあるとは思いますが。
最近では初回登録時にこのワードが出ると、反射的に心の中で落胆するまでになってしまいました…。
「まずはボルダリングがどんなものか様子を見る」ということなく自分が難なく登れる姿がすでに頭の中にあって、実際やってみたら思っていたのとギャップがありすぎた、ということなのか…理由は不明なのですが。
子ども連れの保護者さんが、お子さんがまだボルダリングを好きになるかどうか分からない時期に「月会員で通わせようと思うんです」って言うのにも同様の現象が起こります。
ボルダリングって「登るのが楽しい/好き」ということが大前提でモチベーションが続くので、後のことは決めずに、まずは登ってみて楽しむことから始めてみてください。お子さんも同じ、まずは本人さんがボルダリングを好き!楽しい!と思うことが、“上達に繋がる継続“ には絶対に必要です。
「鍛えてからまた来ます!」
これ、本当に9割方再訪無しです。残念ながら。
普段スポーツやトレーニングをしている若い男性陣からよく出るワードのような気がします。
この言葉の前に「楽しかったです」と付いてても、後にこのワードがくっついてると私たちにとっては「あぁ、この人たちも2回目は来ないのか…」と落胆コース。
「自分の筋肉が足りなかったから登れなかった」、と思っちゃうんでしょうね…。
どれだけ「いやいや、そうじゃなくて、やってるうちに動きも身に付くし鍛えられるんですよ!」と説明しても、最初はなかなか実感できないですもんね。
ボルダリングをやったことのない状態で、期待や自信が頭の中でどんどん大きくなっちゃうと、「何か思ってたんと違う…」ということに繋がりやすくなってしまうのかもしれません。
最初はなるべく期待しすぎず過信しすぎず、フラットな状態で体験してみる、少しずつ様子を見ながら強度を上げていくという心構えでいるのが良いのかもしれませんね。
まとめ:大事なのは「やってみたい気持ち」!
まずは、 運動神経が無いから/背が低いから/力が無いから/もう若くないから
などは全然気にせず、「やってみたい」と思ったらぜひ一度ジムを覗いてみてください。
期待しすぎず、過信しすぎず、フラットな気持ちで一度登ってみてください。
その時に全然登れなくても、それだけで「向いていない」と決めてしまうのは早計すぎ。最初は登れなくて実は当たり前なんですよ。
もし登れなくて向いてないかもと思ってしまっても、「でも楽しかったな!」という気持ちがあったらそれだけで大丈夫!あなたはしっかり「ボルダリングに向いている人」です。
ぜひ一度、いや2~3回は登ってみてください。
\ボルダリングジムもたくさん載ってます!/