
- ボルダリングって分厚いマットが敷いてあるよね。だからケガはしない?
- ボルダリングはロープやヘルメットを着ける?
- 手が痛そうだけど手袋してもいいのかな?
ジムで受付している中で、時々「マットあるし、ケガは絶対しないですか?」って聞かれることがあります。見学に来られた方に、「絶対にケガしないって言うんなら通ってあげても良いけど」と言われたこともあります笑
残念ながら、「ケガのリスクは、あります。絶対しないってことはあり得ません。」て言うしかないです。
日常生活の中でただ歩いているだけでも、捻挫したり骨折したりすることだってあります。それが、ボルダリングはそもそも4mほどの高い所から落下することが前提のスポーツ。
また、関節や腱にも日常生活以上の体重がかかるということもあり、負荷の高いスポーツでもあります。
もしどうしても絶対にケガをしたくないのであれば、ボルダリングというよりスポーツ全般お勧めできないかも…。
(前述の「ケガしないんなら通ってあげてもいいけど」発言の方は、もし万が一何か起こってしまったら怖いので…そもそも誓約書の「自己責任」のところで躓きそうなので、丁重にお断りしました笑)
ちなみに、クライミング(ボルダリングやリード)は「エクストリーム(=過激な)スポーツ」というジャンルにも分類されていることからも分かるように、決してケガと無縁のスポーツではありません。
「ケガなんてしないよ!」と思っているより、リスクをちゃんと理解して安全性に気を配りながら登ることで防げるケガもあると思います。クライミングをしていて起こりやすいケガについて、もう少し詳しくご説明していきますね。
もくじ
ボルダリングはロープやヘルメット、手袋をしてもいいの?
ボルダリングはロープやハーネス(安全帯)を着けないで、生身の身体のまま登ります。
ロープやハーネスを付けるのは「リード」と呼ばれるほうのクライミングになります。
ヘルメットもかえって危険なので、着けません。
ホールドがざらざらしているので手の保護のために手袋や軍手を着けたい、と言われる方が時々ありますが、これは絶対✖です。
というか、手袋をしていては、手が痛いかどうかの前に、そもそも手が手袋の中で滑って登ることができなくなってしまいます。
手の皮が厚くなったりガサガサになってしまうのはクライマーとしての宿命といえるかもしれませんので、できれば受け入れていただいて…。ハンドクリームなどで登った後のケアをしっかりするようにしてください。登る前は油分がホールドに付いちゃうからアウトですよ~。
ボルダリングのケガ、どんな時にしやすい?
大きなケガをすると、長期間ボルダリングから離れざるを得ないこともあります。
私も、大ケガしてほぼ1年間まともに登れず、ゼロ以下から再スタートした経験有りです…。
ボルダリングでは、「落下する時」と「オーバーユース(使いすぎ)」の時がケガの発生する率が高くなります。
気を付ければ防げる対人衝突事故と違い、どうしても100%防げるものではありません。
ただ、気を付けることである程度は発生する確率は減らせると思います。
では、シチュエーションにより起こりやすいケガについて、ご説明します。
登っている時
手の豆が潰れたり皮が剥けるのは、始めたばかりの方あるあるです。手の皮の柔らかいお子さんにも本当に多いケガです。
そして手を洗うのが泣きそうなほど痛いです。
これを防ぐには、前もってのテーピングでの保護をお勧めしています。
慣れてくると皮が厚く丈夫になってめったに潰れなくなりますので、それまでなんとかそれで凌いでください。
登っていると皮膚がずれて白っぽくなってきてしまうことがあります。これはもう剥ける寸前の状態。
そうなったら、剥ける前にまず手を洗いチョークを落としてから、そこをテーピングで指をぐるっと1殻周巻いて、保護してみてください。多分登っているうちにすぐ外れますので、そうしたらまた貼り直して。
豆のできる位置はその人の手の使い方でいろいろですので、白っぽく剥けそうなところに貼ると良いです。
チョークは改めて、テーピングを貼った上から付けるようにしてくださいね。
ちなみに今までの経験の中で、お客さんが上に向かって登っている時のケガで一番大きかったのは、「肩関節の脱臼」でした。
もともと外れやすいタイプではあったらしいですが。
体重がグッと関節にかかりますので、関節の緩い方はテーピングで補助するなどして本当に気を付けてください。
マットの上に落ちる時
捻挫・骨折・脱臼・腱損傷など、膝・足首などのケガに繋がりやすい場面です。
マットはもちろん分厚いですけど、なんせ4mほどの高い所から落ちるんです。
2階のベランダに柵なしで立つことを想像してみてください。しかも、足元は平面でなく小さな石の上につま先立ち。
いくら地面にマットが敷いてあっても、落ち方が悪ければケガすることだって無くはないって想像つきますね。
水面に飛び込む時、究極に軟らかな水ですら、入水が上手く行かなければケガすることもあることを考えれば、マットは万能ではありません。
壁の上部から降りる時、飛び降りちゃったほうが手っ取り早い気持ちもありますが、特にまだ慣れていないうちは、できるだけホールド(降りる時はどれを使ってもOK)を伝って安全な高さまで降りてくる「クライムダウン」を心がけましょう。
降りてくるのは思ったよりしんどいですが、それもトレーニングと思ってやってみてください。
また着地には腰部にも大きな力がかかりますので、腰痛持ちの方は気を付けて。
不意に落ちてしまう時はしょうがないですが、自分の意志で降りる時はクライムダウンを心がけましょう。
落ちてしまった時は、膝を軟らかく使って両足着地し衝撃を吸収してください。受け身のように後ろにコロンと転がるのもいいと思います。
まずは日頃から飛び降りるときに膝を意識して飛び降りる癖をつけておくと、いざという時も安心です。
また、壁の傾斜によっては、落下中にホールドにぶつかってしまうと危険な場合もありますので、落ちる!と思ったら壁から離れて落ちれるように気を付けてください。
身体に捻りが加わった状態で落ちるのが一番怖いです。くれぐれも気を付けて。
落ちるつもりで登るわけではないですが、常に「落ちるかもしれない想定」「落ちるかもしれない心づもり」だけはして登ってくださいね。想定しているだけでも身体のダメージは少なくなると思います。
オーバーユース
ボルダリングは特に手指の関節や腱に大きく負担のかかるスポーツです。
第一関節すらもかからないようなホールドに指をかけて体重を支えるなんていうことが日常茶飯事なので、腱鞘炎などの腱損傷などが起こりやすくなってしまいます。
ですので、あまり毎日ガンガンに取り組まず、一日登ったら少なくとも一日は腱や筋を休めるようにすることが推奨されます。
これを「レスト」といいます。
腱や筋を休めず使い続け過ぎると疲労が蓄積してしまい、上達するどころか故障にも繋がってしまいます。
逆にきちんとレストを取りながら取り組むことで“超回復“という状態になり、かえって効率よく上達に繋げられると言われています。
特にお子さんは、年齢的に疲労物質が溜まりにくいのか無限に動けてしまうので、大人よりも細い腱や筋に自覚のないまま負担が蓄積します。そしてある日突然、関節や腱が悲鳴を上げてしまうこともあります。
「やりたい!登りたい!」と言われると、上達もしそうだしジムに連れて行ってあげたくなるのが親心ですが、毎日のように登らせてしまうことのないよう、そこは大人の方がコントロールしてあげてください。
長くボルダリングを続けるために「故障しない」ということは大事なことです。
予防としてテーピングやサポーターを使うのもおすすめです。
予防的に手首に巻いたりする方も多いですし、私も整形外科のドクターにそう勧められました。
(巻き方については医療者ではないため書けないです…が、検索するとたくさん出てきますのでぜひ調べてみてください)
筋肉なら筋肉痛という形で自覚しやすいのですが、腱や関節は軽度の頃に自覚しにくく、痛みが出てきた時はすでにかなり炎症が進んでいる状態とのこと。一度傷めるとなかなか修復できないので、まず傷めないということを心がけ、レストをしっかり取りながら取り組みましょう。
ケガをせず長く楽しく登ろう
このように、ボルダリングをしていて絶対ケガをしないということは言えません。
が、なるべくケガをしないよう気を付けることでより安全に楽しむことができます。
また、万が一ケガをしてもしっかり回復させてまた再開している人はたくさんあります。
予防できることは予防して、できるだけケガ無く元気に楽しみましょう!
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