ボルダリング・リード・スピードの違いとは？クライミングの種類と違いをわかりやすく説明します

オリンピック競技にも定着し、クライミングという言葉を耳にする機会も目にする機会も増えてきましたよね。
でも、ボルダリングやリード、スピード、さらには「ボルダー」という言葉もよく聞きます。これら、いったいどう違うの？
この記事では、クライミングのさまざまな種類—ボルダリング、リード、スピードについて、初心者の方にもわかりやすく、その違いを詳しく解説します。

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もくじ

• すべてをまとめたものが「クライミング」
  • ボルダリング(ボルダー)
  • リード
  • スピード
• それぞれの種目のことをよく知れば、見るだけでももっと楽しめます

すべてをまとめたものが「クライミング」

簡単に言うと総称が『クライミング』で、その中に「ボルダリング（ボルダー）」「リード」「スピード」などの種類があるということになります。

クライミングは、もともと山岳登攀技術の中に岩壁を登るというものがあり、それを地上でトレーニングするというところから始まったものです。
その後そのトレーニングを競技化する流れができ、現在では力を発揮する場所として
・山岳登攀技術のトレーニング＋外岩
・競技としてのクライミング(大会出場)
・趣味としての屋内ジムクライミング
大きくはこのように分かれていて、この中で「屋内ジムで登るのみ」という方が圧倒的に人口が多いと思われます。

屋内ジムの課題(ルート)も、課題ごとに「外岩クライミングのトレーニング」と「競技クライミングのトレーニング」のどちらかに寄っていることもあります。ジム自体がどちらかの傾向に寄っていることもありますし、それぞれの傾向の課題が混在しているジムもあると思います。そういうジムそれぞれの傾向についてはまたいつか別の記事で書きたいと思います。

それぞれ
・外岩…競技にも壁の高さや装備の違いなどで「ボルダリング（ボルダー）」「リード」
・競技…「ボルダリング（ボルダー）」「リード」「スピード」
と分かれていますので、以下でそれぞれについて書いていきますね。
このブログでは「屋内ボルダリング」についてを主としていますので、リード・スピードについては概要だけになります。また外岩についても、身内はバリバリの外岩クライマーですが私はインドアのみなので、ざっくり触れるだけにします。

ボルダリング(ボルダー)

高さ約4m程度の壁にホールドと呼ばれるカラフルな石が付いていて、ハーネスやロープ、ヘルメットなども着けずに登っていくものです。クライミングの中で一番専用ジムも多く、身近で体験しやすいものになります。
生身で落ちても大丈夫なように、ジムでは下に分厚いマットが敷いてあります。

「ボルダリング」と名の付くところで思いつくのが
・ボルダリングジム
・公園などの遊具
・レジャー施設
などいろいろありますが、本当の意味での「ボルダリング」ができるのは「ボルダリングジム」が主になります。(レジャー施設にも一部あります)これについても詳細はまた別記事にします。

公園遊具と何が違うかというと、「ボルダリング」は難易度によってあらかじめホールドをセットした「課題」と呼ばれるルートが設定してあります。適当に掴めるホールドを掴んで壁のてっぺんまで上がる、ということではありません。なのでほとんどの公園遊具は「ボルダリング“風”遊具」というのが正しい感覚になると思います。
これ、実は知らない方も多くありますので、別でボルダリングについての深堀り記事もあげますね。

ちなみに外岩でも、ハーネス・ロープを着けずに登るタイプを同じく「ボルダリング(ボルダー)」といい、持ち運び用のマットを敷いて登ります。ルート(課題)も自然の岩の凸凹を使い設定してあります。

元々「boulder=大きな石」を登るということで、日本ではing形で「bouldering(ボルダリング)」と呼ぶのが一般的でしたが、IFSC（国際スポーツクライミング連盟）の使用している名称が「boulder(ボルダー)」だったため、日本でも2023年から「ボルダー」に統一することとなりました。なので「ボルダリング」イコール「ボルダー」です。
ただ、まだ「ボルダリング」「ボルダリングジム」のほうが一般的には多く使われていますので、安心して「ボルダリング」という言葉を使ってください。

リード

まず、ボルダリングと違い、ハーネス(安全帯)を腰に着用しロープで安全確保して10m以上もあるような高い壁を登っていくクライミングを「ルートクライミング」や「ロープクライミング」といいます。
その中に、あらかじめそのルートの最上部の支点にロープが掛けられ安全確保された状態で登っていくクライミングを「トップロープクライミング」といい、これはほとんどの場合始めたばかりの人がするスタイルで一般競技の種目にも無いので、あまり聞かないかもしれません。
ただし、手足や視力に障がいのある方の「パラクライミング競技」においてはトップロープクライミングのみが正式種目となります。

競技の種目にもありよく聞くのがもう一つの「リードクライミング」。
これは、クライマーがルートの途中に設置してある支点のカラビナに自身でロープをかけながら登るものになります。競技ではトップのホールドを掴むことではなく、最上部のカラビナにロープを通してフィニッシュということになります。

ロープクライミングは陸上競技でいうと「長距離走」。持久力が必要な種目で、リードが得意な選手は長距離選手のようなほっそりした人が多い印象です。

トップロープもリードも、クライマー１人ではなく下でロープを操作して安全を確保する「ビレイヤー」が必要になります。ですので、「オートビレイ」という自動でビレイしてくれる機械が設置してあるジムじゃない限り、外でもジムでも２人以上いないとできません。
またビレイヤーにクライマーの安全がかかっていますので、ジムでリードをする場合はだいたい「ビレイヤー研修」を受けて合格した場合のみ利用できるようになっています。

私の働くジムに「ネットで動画を見て友だちと外岩でトップロープやってます」という人が来たことがありますが、危険極まりないです。
命がかかっていますので、ネットで見よう見まねなんて絶対に絶対に絶対にやめてください。
ハーネスやロープ、カラビナなどはすべて命を守る道具です。
しっかり技術がある人と一緒に行って、受け継いでください。

ちなみにその人はジムでのボルダリングも初めてで、初級課題も登れませんでした。最初のクライミングが、誰も経験者なく外岩の見よう見まねトップロープという…
無謀すぎて怖くてびっくりしました。そんな人たちもいるんだな、ちゃんと啓発しないといけないな…と思った出来事でした。

スピード

スピードは、世界共通のホールドが付けられた壁でスタートからゴールまでのスピード対決をする種目です。ビレイはオートビレイ機を使うことになります。

短距離競争のように早いものが勝ち！という競争の世界なので、クライミングをしていない人でもオリンピックなどで見ていて一番分かりやすいのがこの種目です。
でも一般の方がスピード種目を体験できる場は国内にはほぼ無いですので、一般の人が一番体験することのできないクライミングでもあります。スピード壁の数も全国でも限られているため、競技選手の人数も少ないです。

陸上でいうと「100m走」のような種目。持久系種目のリード専門選手と比べると、まさに短距離の選手のようなフィジカルのすごい選手が多いです。

それぞれの種目のことをよく知れば、見るだけでももっと楽しめます

このように、ひとくちに「クライミング」といってもいろいろな種類があり、それぞれ見どころが違います。それぞれの種目のことを知ることで、オリンピックなどでもっと楽しめるようになります。
そして、身近で気楽に楽しめるボルダリングもぜひやってみてください。その楽しさ・奥深さ、そしてきつさ・難しさも多くの人に体感してもらえたらなと思います。